シロウトでも本人訴訟はできるか?
本人訴訟ができるかどうかですが、これは多少の勉強は必要となりますが、法律のシロウトでも本人訴訟をすることは可能です。
というのは、憲法第32条では裁判を受ける権利を保証しているからです。
弁護士をつけないと裁判ができませんよということになると、憲法違反になってしまうのですね。
そもそも、裁判所の窓口では相手がシロウトだからと言って、訴状を受け取らないということはできないのですね。
訴状の書き方に不備があれば、裁判所で教えてもらえることになっているわけです。
裁判書類のひな形はネットで公開されていますし、本人訴訟のやり方を解説する書籍も売っていますので、そういうものを活用して自分で書類を作ればいいわけです。
パソコンで書類を作ればベターですが、なければ手書きでもかまいません。
そうやって、本人訴訟をやっている人というのは意外と多くて、地方裁判所なんかでも本人訴訟をやっているケースは約半分ほどあるとのことです。
簡易裁判所なんかではもっと多いそうですね。
裁判所でもっとも重要なのは証拠ですが、そもそも、証拠がちゃんとあって、法律的にも問題ないようなことが裁判になるようなケースはそう多くはありません。
相手方も負けるとわかっているのなら、わざわざ裁判沙汰にはならないように話し合いで解決しようと思うわけですからね。
不十分ながら証拠はあっても、どっちの言い分が正しいかよくわからないというケースが実は多いわけです。
それでも、訴える人というのはそれなりの根拠があって訴えるわけですから、普通は訴える人が有利になるはずです。
そうやって、決め手となる証拠がない、どっちの言い分が正しいかわからないというケースの場合、どんなに有能な弁護士でも裁判に勝つのは難しいとなります。
そいういう場合、事情を一番よく知っているのは本人ですから、本人訴訟をやるという意味があるわけです。
法律判断というのは裁判官がすればいいわけですから、本人はそれほど法律にくわしくなる必要はありません。
それに、今では法律的なことはネットで検索すればほとんど載っています。
逆に言うと、ネットにものっていないようなレアなケースは本人訴訟向きではありません。
あと、訴訟なんて無駄だからやめておいた方がいいというケースはあります。
たとえば、相手が個人で資力もない、みるべき資産がないというケースですね。
こういう場合は、いくら勝訴してもお金を払ってもらえないので意味がないということはよくあります。
民事訴訟のしくみでは、相手が裁判所の命令を無視しても罰則があるわけではないのでどうにもならないという場合があるのですね。
たとえば、お金を貸したが返してもらえないという場合です。
相手が負けるとわかっているので、裁判になっても裁判所に出頭してこないので勝訴になるかもしれません。
でも、それでお金を払ってもらえるかどうかは別問題なのですね。
こういう人が訴えられてびっくりして弁護士のところにいった場合、借金を払えないなら自己破産してはどうですかと言われるに決まっています。
相手が会社の場合、会社に差し押さえに行ったら事務所は賃貸、備品はリースなので差し押さえるものがなくて執行不能になりましたという展開ですね。
そもそも、裁判に負けて金目のものをそのままおいておくという間抜けはいません。
どっかに隠しちゃうに決まっています。
もちろん、それは強制執行妨害罪という罪にはなるかもしれませんが、相手を刑務所に入れても一円の得にもならないので、普通はそんな面倒臭いことはしないからです。
そんなわけで、裁判をやるには本人が法律を熟知しているかどうかよりも、重要なことは他にも色々とあるのです。
自分が法律を知っているかどうかよりも、相手がお金を持っているかどうかの方が重要なのですね。
弁護士は判決をとってくるのが仕事ですんで、それで報酬が発生しますが、それでちゃんと相手方がお金を払ってくれるかどうかは別問題なのです。